資金規模は大きくても運用姿勢は内向きで堅実なため「眠れる巨象」と呼ばれてきた農林中金。しかし11月26日に農林中金総合研究所が発表した「金融市場」(12月号)の情勢判断リポートには、〈世界経済の下振れリスクは後退しつつあり、リスクオンの流れが盛り返していく可能性が高いだろう〉と記されており、投資家たちが驚いている。
農林中金レポートが指摘するように、日本経済回復を左右するのは、米ドナルド・トランプ次期大統領によって米経済が本物の回復を見せるかどうかに懸かっているといえる。そこで注目されているのが「グレートローテーション」と呼ばれる経済用語だ。玉川大学経営学部・島義夫教授(ファイナンス論)が解説する。
「具体的に言えば、世界の投資資金が株式にシフトすることを指します。2008年のリーマン・ショックからの約10年間、世界の投資資金は株式から債券にシフトし続けました。株価が大幅下落し、企業業績も落ち込んだため、安全投資先である債券に資金が流れたわけです。しかし景気の好転によって株価が上昇し、利上げによって債券の利回りが下がる状況が予測されれば、今度は債券に集中していた投資マネーが株式に移動する。その大転換がグレートローテーションです」
条件はすでに整いつつあるという。
「ダウ平均の上昇に加え、米FRB(連邦準備制度理事会)はすでに量的緩和を終了し、利上げの方向に舵を切っている。すでにグレートローテーションが起きる条件は整っていると考えられます」(同前)