ポケットティッシュからウェットティッシュ派に転向
PR会社に勤務する30代女性・Bさんは、ポケットティッシュよりもウェットティッシュを持ち歩くようになった。「鼻をかむのでなければ、ティッシュペーパーよりも使い勝手がいい」と語る。
「何か拭きたいときは、ウェットティッシュのほうが消毒もできるし、分厚いし、便利だなと思うようになりました。ウェットティッシュを日常的に使うようになると、ポケットティッシュの存在意義が薄れていってしまって……。ティッシュペーパーといえば鼻をかむときに使うイメージですが、外で鼻をかむことは基本的にないので、ポケットティッシュはいらないかなと」(Bさん)
Bさんは、ティッシュを配る人を見かけなくなった要因について、「SNSの普及が大きいのでは」と分析する。
「実際にPR業務に携わっていると実感するのですが、広告費が削られるなか、SNSや動画が当たり前のものになって、そこでの発信や広告に力をいれる企業が多くなってきました。時代の流れですよね。ただ、近所の居酒屋や接骨院のような地域密着型のお店の販促には、今でもポケットティッシュは有効だと思います」(Bさん)
バイト経験者「炎天下で配った思い出」
金融機関に勤務する30代男性・Cさんは、学生時代にティッシュ配りのアルバイト経験がある。
「ダンボールに入ったポケットティッシュを配るという仕事ですが、単純そうに見えて、最初はなかなか難しかったです。まず、歩いている人のタイミングが合わなければ受け取ってもらえないし、身なりや年齢、服装など、総合的に見て“もらってくれそう”な人を瞬時に判断しなくてはならない。
僕がバイトしたのは夏休みだったので、炎天下に熱中症にならないよう、こまめに水分補給をしていたことも覚えています。時給1000円で、1日8時間やって8000円。2週間ぐらいやったのかな。当時はネット回線を普及させようみたいな時代で、そういう会社のティッシュだったと記憶しています。ネットを普及させるために、めちゃくちゃアナログな販促だなあ、と思ったのを覚えているので」(Cさん)
時代の変化とともに、消えて行くポケットティッシュ配り。このまま「昔の風景」になってゆくのだろうか。(了)