あなたの場合、10年前の離婚。なので離婚自体による不法行為は問題になりません。しかし、仮にあなたが浮気をしていたとして、そのことを最近になって元妻の知るところとなったとすれば、時効にかかっていない可能性があります。その場合、浮気の程度いかんでは、元妻に対する貞操義務に違反した不法行為があったと解され、慰謝料請求が認められる可能性がないわけではありません。
もっとも、そのためには彼女があなたの不貞行為を最近になって初めて知ったことを証明する必要があります。こうした異例の場合を除き、10年前の離婚による慰謝料を心配しなくてもよいでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2023年5月5・12日号