すぐに家を取り壊して更地にするのは早計
最大の難題はその家が売れるかどうかだ。ファイナンシャルプランナーの牧野寿和さんが言う。
「交通の便の悪い地方の家は、苦戦が予想されます。買い手を見つけるのが困難で、使うあてもないまま固定資産税を払い続け、メンテナンスにも苦労している人も多い」
しかし、だからといって「更地にする方が管理の手間が省けるし、売りやすい」と考えて、すぐに家を取り壊すのは早計だ。建物を解体するには200万円近い費用がかかるうえ、建物がある場合に適用される「住宅用地の軽減措置」が受けられなくなって、固定資産税が最大で6倍になるデメリットがある。更地にしても売れなかったら、目も当てられない。
「更地にすべきなのは、リフォームしても住めないような古い家で、取り壊した方が価値が上がる場合のみ。自分だけで見極めずに、地元の不動産業者に相談することを推奨します。また、解体する場合、補助金制度を使えることがある。金額や適用できる条件は自治体ごとに異なるため、窓口で問い合わせてみてほしい」(牧野さん)
売らずに「貸す」ことも選択肢の1つ。無人の家は老朽化が進みやすい。貸してしまえば手入れしてもらえるうえに、賃料もコンスタントに入って一石二鳥だ。
「コロナ禍でリモートワークが広がり、移住を希望して物件を探している若者は少なくありません。しかし、特に地方では不動産のウェブサイトが充実していない地域も多く、いまだに口コミで売買されている。買い手と売り手がうまくマッチングしていない印象です。
そのため、売りたい家がある場合、SNSで『空き家あります』と発信したり、全国の地方自治体が管理する空き家や空き地の情報を集めたサイトである『空き家バンク』に登録するなど、積極的に発信することが大切です」(佐々木さん)