東京証券取引所は3月31日、「PBR(株価純資産倍率)」が1倍を下回る企業に、株価水準を引き上げるための具体策を開示・実行するようあらためて要請をした。いまなぜPBRが注目されているのか。そして、なぜ東証はPBR1倍未満の企業に向けて改善要請をしたのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第40回は、「PBR1倍割れ」について。
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ここのところ“PBR1倍割れ”という言葉をよく耳にします。わたしの10年以上にわたる株式投資歴の中でも、これほどPBRが注目されたことはありませんでした。いったいなぜ今、PBRが株式市場を賑わせているのでしょう?
発端は東京証券取引所のフォローアップ会議
“PBR1倍割れ”が騒がれ始めたのは、東京証券取引所が開催している「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」の資料が発端です。
その中には、はっきりと「継続的にPBRが1倍を割れている会社には、開示を強く要請」とあります。しかも実施時期は2023年春。PBR1倍割れの企業は、早々になんらかの対応策を開示しなくてはいけません。