いま株式市場の潮目が大きく変わろうとしている。慎重に相場を読み解くことで長く生き残ってきた歴戦のファンドマネージャーも、その見通しを大きく強気転換し始めた。
今、市場に何が起こっているのか、「ひふみ投信」運用責任者でレオス・キャピタルワークス代表の藤野英人氏が解説する。
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2016年の日本株は、前年末から続いていた弱気相場によってひたすら辛抱が求められる1年だった。それでも私が運用責任者を務める「ひふみ投信」は、過去最高値更新も視野に入るパフォーマンスをあげることができた。
それは中小型株を中心としたデフレ対応のポートフォリオを組みながら、夏以降に半導体関連の輸出・ハイテク株の比率を徐々に上げていったことが大きい。
ポートフォリオを組み替えていった背景には、何より世界情勢の潮目の変化がある。リーマン・ショック以降、米日欧では「金融市場にお金を流し込みさえすれば自動的に経済がよくなる」として大規模な金融緩和が進められてきたが、いよいよその金融政策にも手詰まり感が出てきた。
そこで世界的に経済対策の主流が「金融」から公共投資を中心とした「財政」へと変わろうとしているのだ。