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「原野商法」被害者の子供の救済につながるのか? 新制度「相続土地国庫帰属制度」の落とし穴を識者が指摘

却下されたり不承認となるのはどんな土地?「相続土地国庫帰属制度」で利用できない土地の要件チェックリスト(財務省ホームページより)

却下されたり不承認となるのはどんな土地?「相続土地国庫帰属制度」で利用できない土地の要件チェックリスト(財務省ホームページより)

条件をクリアできない?

 そのうえで吉澤氏は、「今回の新制度が設けられた目的のひとつに、『原野商法』の被害者の子供世代が直面する相続問題の助けとなるというポイントがあるとされますが、それもどこまで有効なのか、疑問が残ります」とも話した。

「原野商法」とは、原野など価値のない土地を「開発計画があるので近い将来、高値で売れる」などと騙して売りつける悪徳商法のことで、1960~1980年代に横行していた。

「騙された人の子供世代が原野を相続しなくてはならなくなってしまって困っているのは事実ですが、原野商法で売りつけられたような土地で、境界線が明確になっているのか、公道に通じているのか、樹木問題はクリアできるのか、といったことを考えた時に、国の引き取り条件をどこまでクリアできるのか不透明です。そもそもどこにあるのかすら知らない子供がたくさんいますから」(吉澤氏)

 そうしたなかで、新制度の活用が検討できるケースとして吉澤氏は「親の代のうちに不要な土地を国に引き取ってもらうこと」が考えられると指摘した。

「新制度がスタートした4月27日以前であっても、“相続によって取得した土地”であれば制度を利用できます。親が数十年前に先代から相続した土地があって、売れそうにないし子供たちには不要といったケースなら、“親の代のうちに国に引き取ってもらう”というやり方は考えてもいいでしょう。子の世代にとってありがたい話であることは間違いありません。ただし、原野商法の被害を含め、親が自身で購入した土地であれば制度は使えません」(吉澤氏)

 果たしてどんなかたちで新制度が活用されていくのか、注目していきたい。(了)

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