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中野剛志氏が断言「日本は財政破綻しない。増税の必要もない」 その理由を「正しい貨幣論」から読み解く

なぜ「日本は財政破綻しない」といえる?(撮影/渡部伸)

なぜ「日本は財政破綻しない」といえる?(撮影/渡部伸)

「財政破綻しない」という根拠

――それでは、正しい貨幣論とはどのようなものでしょうか?

中野:イギリスの中央銀行であるイングランド銀行が、その季刊誌(2014年春号)の中で、貨幣に関する入門的な解説を掲載しています。それは、商品貨幣論は間違っていると指摘した上で、次のように述べています。

「今日、貨幣とは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債である」(*Michael Mcleay, Amar Radia and Ryland Thomas,‘money in the modern economy’)

 このように、貨幣を「負債」の一種とみなす学説を「信用貨幣論」と言います。貨幣の歴史をたどってみても、先ほどみたように、古代メソポタミアや古代エジプトでは、官僚たちが、臣下や従属民との間の債権・債務を計算したり、記録したりするための計算単位として、貨幣を使っていました。

 貨幣は、物々交換から生まれたのではなく、信用と負債の関係の記録として生まれたわけですから、歴史的にみても、信用貨幣論のほうが正しいと言えるでしょう。

――こののち、同書では「資本主義の仕組み」「資本主義と国家財政」と興味深い説明が続きますが、中野さんが「日本は財政破綻しない」とされる根拠はなんですか?

中野:中央銀行の政府に対する貸出しは、民間銀行の企業に対する貸出しと同様に、資金の制約を受けません。しかし、中央銀行の政府に対する貸出しは、民間銀行の貸出しとは違い、政府の返済能力という制約を受けることもありません。徴税権力を有する政府は、確実な返済能力があるからです。

 このように、変動相場制下であれば、貨幣を創造し、徴税権力を有する政府は、債務を返済できなくなって破綻するということはありません。そして、日本政府はもちろん貨幣(円)を創造し、徴税権力もある政府です。したがって、日本の財政が破綻する(債務不履行に陥る)ことはないのです。

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