3年余り続いたコロナ禍が一段落し、経済活動も本格的に再開する目処が立ってきた。円安の動きも落ち着き、5月初頭には日経平均株価が年初来高値の2万9000円台を記録するなど、足元の日本経済は上向きの気配が漂う。
一方で、米国では3月に相次いだ銀行の経営破綻の影響が続き、5月1日には総資産31兆円のファースト・リパブリック・バンクが経営破綻した。リーマン・ショック以来、史上2番目の規模の銀行破綻となった。
米国で金融不安・物価高の終わりが見えないことから、日本経済の先行きは、また不透明さを増したようにも見える。そうしたなか、兜町ではあるレポートが改めて注目されている。
〈2023年は日本株の年に 脱デフレで見えてくる日経平均4万円という「新しい景色」〉
そう題されたのは、昨年12月14日、SMBCグループの三井住友DSアセットマネジメントが発表した投資家向けのレポートだ。
2022年末時点の市況について、急激な利上げや景気減速などで低調な米国などの外国株に比べ、日本株が堅調に推移していると評価。諸外国と比べた日本の堅調さは、2022年よりも2023年に〈鮮明に〉なるとし、〈日本株への内外からの注目〉が高まり、〈2年後には日経平均4万円〉があり得ると締めくくられている。
同レポートは株価・為替相場の双方の乱高下に投資家が苦しんでいた昨年末の段階から今年の株高を予想したもので、足元では、まさに今このレポートの“予言”通り、株高基調が出現している。
ただ、そうは言っても、これまで日経平均の最高値(終値)はバブル期の1989年12月29日につけた3万8915円である。それを上回る4万円という強気な予想を、メガバンクのグループ会社が公式に表明するのはなぜか。
同レポートを執筆した三井住友DSアセットマネジメントのチーフグローバルストラテジスト・白木久史氏が言う。
「レポートを書いた時と若干足元の環境は変わっていますが、基本的に見解は変えていません。今年は『日本株の年』だと思っています。強気のポイントは3つあると考えています」