まだ見ぬ4万円台という“新しい景色”を見られるのだとすれば、その要因はどこにあるのか──。
白木氏が指摘する第1のポイントは、「日本株が非常に割安な状態にある」ということだ。
「現在、2023年度の日本株(TOPIX)の予想PER(株価収益率=株価/1株あたり当期純利益の予想値)は約12倍で、これは歴史的な低水準なのです。割安になっているのは、今後、日本企業の成長が鈍化するのではないかと警戒されているからだと考えられます。つまり、日本企業がコロナ禍による経済停滞を完全に脱し、順調に業績を拡大させていくところを見せられれば、株価の大きな上昇を期待できるということです」
白木氏が、日本株が“過小評価”されている現状から抜け出せる可能性があると見る理由が、第2のポイントとなる「マイルドなインフレによる好循環の予兆」だ。
「エネルギーや食品の価格が上昇し、ユーロ圏で一時10%台、米国でも同9%台のインフレを記録しました。それに対して長くデフレに苦しんできた日本では、今年3月分の消費者物価指数(CPI)が前年同月比プラス3.2%と、適度でマイルドなインフレと評価できます」
もちろん、値上がりによる生活苦の声も少なくないが、“マイルドなインフレ”からの好循環を生み出すきっかけとなり得るのが、「賃上げ」だという。
「4月に連合が公表した賃上げ率は3.69%と、30年ぶりの高水準です。デフレ下では給料を上げなかった企業がマイルドなインフレ下で賃上げに転じていけば、消費が活性化する好循環が生まれやすい。1980年代後半のバブル期以来となるインフレと賃上げの両立によって、日本経済は様変わりするかもしれません。当社では、日本の名目GDPは今年度も来年度も2%前後、成長すると見ています」
バフェット来日の影響力
そして第3のポイントは、日本に生じたこうした変化を「外国人投資家」が評価し始めていることだ。かつて日本株を買っている人の大半は日本人だという時代もあったが、半数以上は「外国人投資家」が取引している。
「日本のマーケットは1日3兆円程度の売買がありますが、その6割にあたる1.8兆円は外国人投資家によるものです。IMFが予測する今年の日本の経済成長率はプラス1.3%で、G7のなかでもカナダ、米国並みに高い水準。外国人投資家の日本株に対する“期待感”はすでに出始めています」
そうした空気をさらに盛り上げたのが、今年4月に来日した“投資の神様”と呼ばれるウォーレン・バフェット氏だ。