リスクを負って大きなリターンを狙うよりも、極力リスクを抑えて資金を増やしたい──そう考える人も多いのではないか。そんななか、「ほったらかし投資」なる株式投資法が注目されている。「配当株を持ち続けるだけで年間100万円超の不労所得を得ている」として話題の投資家・配当太郎氏にその“極意”を聞いた。
2021年2月に始めたツイッターのフォロワー数は約10万人、今年2月に上梓した初の著書も版を重ねるなど、投資の世界でにわかに注目を集め始めた配当太郎氏。その投資家としての第一歩は今から17年前に遡る。
「まだ学生だった2006年夏に初めて証券口座を開設して投資を始めました。当時は市場環境が良く、最初に数十万円を投資したらすぐに利益が積み上がり、1か月で約100万円の利益を得ました」(以下「」内コメントは配当太郎氏)
順調な滑り出しだったが、2008年のリーマン・ショックで「奈落の底に突き落とされた」という。
「保有株は軒並み値下がりして、資産は一気に数分の1に激減しました。リーマン直後は株価が暴落して売ろうにも売れず、ただただ絶望感を味わいました」
そんな状況下で差し込んだ光が、株価が落ち込むなかでも「数千円や数万円の配当金が入ってくる銘柄」だったという。
「精神的にも金銭的にもつらい状況のなか、わずかな配当金が本当にありがたかったことを今も覚えています。その経験によって、改めて『配当金の意味と価値』を考え直すことになりました」
結果として現在、軸足に置くのが「配当株投資」だ。保有株の配当金による利益、いわゆるインカムゲインに主眼を置く投資法で、キャピタルゲイン(株価の上下に応じて売買を行ない、その差額で儲ける)を追い求める投資法とは大きく違う。
「投資先の企業が利益をあげ続ける限り、黙っていても配当金を受け取れます。キャピタルゲインを狙う投資法は、見方によってはギャンブル的要素が強い。それに比べてリスクが少なく、株価や市場の動向に一喜一憂せずに安定収入を得られることもメリットです」
給料や年金以外の安定収入があるほど、貯蓄を取り崩さずに済むのは言うまでもない。