他人に対する不信感
また、中国人観光客の「低年齢化」には良い面と悪い面がある。中国に詳しいライターの西谷格氏が指摘する。
「中国の旅行代理店の調査では5月の連休中に海外旅行をする中国人の7割は40歳以下。日本を訪れる中国人観光客も大半が20~40代です。経済発展の恩恵を受けている若い世代は上の世代よりも経済的におおむね豊かで、消費意欲が高い。
一方でコロナの3年半で中国人の行動や思考様式がやや洗練された印象があり、全体的に以前のような過度の行動は控えて落ち着くのではないか」
他方で、低年齢化に伴うこんなケースも。4月末、日本の路上で転倒したお年寄りを助けようと周囲の日本人が近づくと、たまたま居合わせた中国人観光客の少年が「助けてはダメだ! あの人は当たり屋だ」と中国語でしゃべる動画が中国のSNSで拡散された。
「転倒したお年寄りに手を差し伸べた際、お年寄りから『あんたのせいで転んだんだ』と難癖をつけられることを懸念して、『助けてはダメ』と口走ったようです。中国では路上で転んだ老人を助けた結果、賠償を求められたという事例があるため、転倒者への警戒心や不信感が強いのは事実。
若年層はインターネットの情報で頭でっかちになっているところもあるのでしょう。中国人は日本人とは他者との距離感が異なることを踏まえたうえで、付き合う必要がある」(西谷氏)
この先、中国からの団体客も“解禁”となる見通しだ。3年の空白を経て、どのように中国人客と付き合うかが試される。
※週刊ポスト2023年5月19日号