映画館、新幹線、飛行機──。全席指定でなくとも、お目当ての席を確実に確保するため、事前に指定席を予約する人は少なくない。しかし当日、「席を交換してほしい」と頼まれたら、どう対応するだろうか。実際にそういった経験がある人たちに、席交換問題についてリアルな意見を聞いてみた。
映画館で席を交換するという発想がなかった
金融機関に勤務する40代女性・Aさんは、映画館に行く時は家族4人でということが多い。人気タイトルや連休の際は、家族4人が並んで鑑賞するのは一苦労だという。
「人気映画かつ休みの日ともなると、4人並んで席を取るのは一苦労。朝早いか少し遅めなど時間をずらして混んでいない時を狙ったり、時間をずらせないときは、私と娘、夫と息子という形で分かれます」(Aさん)
そんなAさんだが、先日、4人で並ぶことができなかったため、これまで通り2組に分かれて予約したところ、映画鑑賞前になって「席を交換してもらえないか」と声がかかった。
「学生風の若い男女5人が2組に分かれ、私たちは挟まれている状態でした。彼らに『席を交換してほしい』と言われて、単純に驚きました。私には席を交換するという発想がなかったので……。『私も家族と離れているんだからと我慢して』と言いたかったけれど、特にその席にはこだわりもなかったので、交換に応じました。ただ席を交換したことで、たまたま前の人は座高が高くて、子供には見にくい席になってしまいました。上映中ずっと複雑な気持ちでした」(Aさん)
事前に指定するのはそれぞれの好みや事情がある
新幹線や飛行機でも、席交換を求める人はいる。メーカーに勤務する30代男性・Bさんは、出張や旅行で移動する際に、度々遭遇することがあったという。
「新幹線で、窓側の指定席を取っていたのに、その席にはすでに女性が座っていたので、『席を間違えていませんか?』と話しかけたら、彼女は『並んで座りたいので、あっちの席じゃダメですか?』と、自分が取っていたらしい通路側の席を示してきました。私はその時仕事でPCを使うため、コンセントのある窓側が良かったので、きっぱり断りました。でも、なんだか心が狭い人だと思われたかもしれません。ちょっと釈然としませんね。
飛行機では、通路を挟んで隣同士に座っていたカップルがいつまでも喋っているので、女性の隣に座っていた僕のほうから『席を替わりましょうか』と提案したことがあります。それは喜んで受け入れてもらえて、お互いにメリットがあったと思います。ただ、相手の都合も考えずに自分の都合だけで、席の交換をねだるのは図々しいですよね」(Bさん)