近頃、SNSでは「おっさんビジネス用語」が話題になっているという。「一丁目一番地」「えいや」「よしなに」など、中高年世代には懐かしく、若い世代には新鮮に感じられているようだ。
緊張した場面を一瞬にして和やかにする効果を持つ言葉も少なくない「おっさんビジネス用語」。略語・擬音語・野球・相撲・麻雀・時代劇などから派生したものが多いのも特徴だ。そこで、代表的な「おっさんビジネス用語」をビジネスシーン以外の身近な場面で使える例文とともに紹介しよう。
あ~さ行
アゴアシ付き
【意味】アゴ(食事代)とアシ(交通費)の意味。仕事相手が食事代と交通費を負担してくれること。マクラ(宿泊)がつくこともある。もともとは寄席芸人の隠語だった。
【例】今回の帰省は、じいじたちが「アゴアシマクラ付き」にしてくれるから助かるわ。
一丁目一番地
【意味】物事の中で最も重要な課題のこと。主に政治家が重要な政策を訴える国会答弁で使う言葉。1980年代から新聞記事で見られるようになった。
【例】姑の誕生日をイタリアンにするか寿司にするかがわが家の「一丁目一番地」です。
イッテコイ
【意味】元は、金融業界で相場が上がってすぐに元に戻ったことを指す。失敗したが、さほど損害はなかったというニュアンスで使われる。
【例】ご祝儀の3万円は痛かったけど、引き出物を見たら「イッテコイ」だったね。
うっちゃる
【意味】土俵際に追い詰められた力士が体をひねって相手を投げる技から、大逆転することを指すが、ほったらかしにするという意味もある。
【例】冬物衣類の洗濯、めんどうだな~。しばらく「うっちゃって」おけばいいか。
えいや
【意味】気合を表す言葉。難題や大変なことも、気合を入れて頑張ればなんとかなるというときに使う。
【例】うちの実家、物が多いんだけど「えいや」で片づけを乗りきるわ。
鉛筆なめなめ
【意味】じっくり物事を考えるという意味もあるが、数字の帳尻を合わせるために使うことが多い。鉛筆をなめると、書きやすくなることから生まれた言葉といわれている。
【例】ゴールデンウイークの旅行代の精算は、なんとか「鉛筆なめなめ」でやっといて。
カツカツ
【意味】予算やスケジュールなどがギリギリの状態でも、どうにかこうにか成り立つさまを表す。給料日前などに使われる。
【例】物価がこう上がるとうちの食費は「カツカツ」でいやになっちゃう。
ガッチャンコ
【意味】2つ以上の別々のものを合わせて1つにすること。ただし、どこか摩擦を彷彿させる擬音語であるため、必ずしも適切に相手に伝わるとは限らない。
【例】なかなか意見がまとまらないから、この際、A部長とB部長の案を「ガッチャンコ」したらええやん。
ガラガラポン
【意味】くじの入った箱を振ったときにする音から、くじで決める→もう一度やり直すことを表す。また、にっちもさっちもいかなくなった揉め事を、一度、白紙に戻してやり直すというときなどにも使われる。
【例】マンションの理事長選出の件は、一度、「ガラガラポン」にしませんか。
決め打ち
【意味】囲碁などであらかじめ手を決めておき、その通りに打つことから、商談や会議も話し合って決めるのではなく、最初から結論ありきで、それに向けて行動すること。
【例】次回のテーマ選び、ある程度「決め打ち」しないと時間ばっかりたっちゃうかもよ。
ケツカッチン
【意味】後に予定があって、いま行っていることの終了時間を延長できない状況のこと。映画やドラマの撮影現場で使われることが多い。
【例】6時には出なくちゃいけないんで、今日の打ち合わせは「ケツカッチン」でお願いします。
正直ベースで
【意味】「正直」に、「~を基礎とした」などの意味がある「ベース」をつけて、誇張せず「実のところ」「正直に申し上げると」といったニュアンスで使われる言葉。
【例】お小遣いの値上げは、「正直ベースで」これが限界です。
全員野球
【意味】レギュラー、補欠を含め全選手が一致団結して試合に臨む野球用語から、ビジネスではチーム全員で力を合わせて、取り組むことを表す。
【例】今度の大掃除は「全員野球」でピカピカにしよう!