こうした状況が、公共の場での過剰アナウンスには慣れていない外国人にとっては苦痛だったようです。実際のコメントを見るとこんなものがありました。私に対してツイッターで相互フォロー関係になった人からのDMの言葉も含めて紹介します。
「『過剰アナウンス大国』これはいい言葉だ。まさに私の妻が苦しんでいることだ」
「このような分析記事が出るとは。日本人もこの過剰アナウンスに違和感を持っている人がいるのか」
「良い分析をありがとう」
正直、この「過剰アナウンス大国」の記事は、在留外国人の人向けに書いたわけではありません。それでも、同記事に反応した外国人は多く、その中のひとりであるアメリカ人ジャーナリストからは、近日中の飲み会の誘いをいただき、欧米出身の人たちと一緒に、日本の生活への違和感について語り合うことになりました。
もちろん彼ら/彼女たちは、日本で暮らすのは快適だと思っていますし、好きだからこの国にいるわけです。しかし、厚切りジェイソン的に「Why Japanese People!」と言いたくなることも多いのです。
「English」ではなく「Engrish」
日本で暮らす外国人たちは、日本を見下しているわけでは決してありません。しかし、常にどこかしらの違和感を持っています。それはG7に加盟する先進国でありながらも、異常に低い英語能力への落胆にも表れます。日本人が駆使する英語は「Engrish」と呼ばれています。本来は「English」ですが、日本人は壊滅的に「R」と「L」の発音の使い分けができない。「らりるれろ」は日本人にとっては同じですが、英語では「R」と「L」はまったく異なるもの。
Lightは「軽い・光」などの意味ですが、Lを日本人にありがちなRで発音すると「右・正しい」になってしまいます。これは元の言語の発音の仕組み上、やむをえないことなのかもしれません。ただ、発音以外にも日本の英語があまりにも無茶苦茶なことにはうんざりしているようで、それを見つけたら写真撮影をし、SNSのEngrishコミュニティでシェアしたりしています。
1990年代前半、「夜間押しボタン信号」にはこのように書かれていました。正確ではありませんが、私の記憶を辿ってみます。“To cross the street, push the button at night.” これを訳すと「この横断歩道を渡る時は夜のうちにボタンを押してください」となります。テレビ番組で大橋巨泉氏が指摘をし、その後真っ当な表記に変わりました。
最近でも某家電量販店の「万引きは犯罪です 見つけた際は直ちに警察に通報します」の警告の英訳が無茶苦茶だとネットで話題になりました。そこには「The thief will immediately call the police」とあります。これを訳すと「泥棒はすぐさま警察を自ら呼びます」とあり、「なんという立派な泥棒だ!」と嗤われたのです。本当なら「Shoplifting causes immediate police notification.」と書けばよかったと思います。もっとシンプルに「Don’t steal or police are coming to you.」でもいいでしょう。