中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

日本で暮らす外国人が抱く強烈な違和感 「過剰アナウンス」「Engrish」に辟易

日本で暮らすのは快適だけど「どうして?」と言いたくなることもあるようで(写真:イメージマート)

日本で暮らすのは快適だけど「どうして?」と言いたくなることもあるようで(写真:イメージマート)

 最近になって海外から来た旅行客を目にする機会が一気に増えた。テレビでは外国人観光客が「日本すごい!」と絶賛しているシーンもよく放送されている。だが、そこにはもちろんリップサービスも含まれているだろうし、すべての面で満足しているとは限らない。日本に居住する外国人に話を聞くと、日本の快適さや良さは理解しつつも、耐えられないことがあると、その不満を口にすることがある。外国人は日本のどんな点に違和感を抱いているのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏がリポートする。

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 私は、少し前に〈「過剰アナウンス大国」日本の病理…自分の頭で考えて判断を下せない“世界一幼稚な国民”はどこへ向かうのか〉(現代ビジネス・2023年3月31日)という記事を寄稿したんですよ。そうしたら、日本で暮らす外国人(特に欧米系)の人々から私のツイッターに「素晴らしい分析だ」や「私も同じ気持ちで、これが日本で不快なことなのだ」的なメッセージが寄せられ、相互フォローになり、近々彼らと東京で飲むことになりました。

 彼ら/彼女たちは、日本での生活には一定の満足感を抱いています。清潔だしサービスは良いし、人々は比較的穏やかで親切だし、物価は安いし、公共交通機関は時間に正確だし、食べ物はウマい。しかも、母国通貨で給料をもらっていれば、円安のおかげで円換算すると給料も高くなる。こんなにいい国はない!

 それはそれで素晴らしいことだし、私も同じ日本人として誇りに思います。とはいえ、彼らが長年育ってきた環境からすると、「日本社会の幼稚さ」「非合理さ」「他人の目を気にする」「クレーマーに弱すぎる」「余計なお世話が多すぎる」には、耐えがたい面もあるようです。日本という国は「丁寧であればあるほどいいだろう」という前提があったうえで、「不快に思わない人を極力増やしたい。クレームは回避したい。そのためにはクレームを言ってこないであろう少数派の我慢は必要」ということが行動原理になっているのです。

 それは個人主義が徹底された欧米の人にとっては正直ウザいのです。彼らからすれば「私はいちいち行動に指示されたくない」「私は子ども扱いされたくない」となります。その象徴が「過剰アナウンス」ではないでしょうか。

「まさに私の妻が苦しんでいることだ」

 電車に乗ると車掌ないしは自動アナウンスが延々と喋り続けています。次の駅名とどちらのドアが開くかを伝えるのは、誰にとっても、特に視覚障害者には重要なことです。しかし、「一人でも多く座れるように座席は詰めろ」「ドア付近の人は一旦ホームに降りろ」「電車が揺れることがあるから立っている人は手すりか吊革に掴まれ」に加え、コロナ期は「時差通勤しろ」「リモート勤務しろ」「ソーシャルディスタンスを取れ」「マスクをしろ」と連呼されました。しかも、丁寧に英語・中国語・韓国語でも流すものだから、車内は次の駅に着くまでアナウンスシャワーのごとき状況になります。

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