さらに平野氏は、PBR1倍割れであることに加え、「物価上昇に連動して株価が上がる傾向のあるセクター」として、銀行株、鉄鋼株、不動産株を挙げた。
「銀行株では国内最大の三菱UFJFG、鉄鋼株では大同特殊鋼と三晃金属工業、不動産株では大阪が地盤のフジ住宅に注目しています」(同前)
マーケットバンク代表の岡山憲史氏が「海外投資家が狙いそうな銘柄」としてまず挙げたのは、飲料缶から家電、自動車、航空機などあらゆる工業製品の部品として用いられる金属素材を製造するアルミ圧延最大手のUACJだ。「PBRが0.5倍と低く配当利回りが3.13%と高いのが魅力」という。
“オールドメディア”と揶揄されるテレビ局も、25銘柄の一角を占める。
「動画配信サービスやインターネットテレビに活路を見出した民放大手の日本テレビHDとテレビ朝日HDは、いずれもPBRは0.5倍を割り込んでいるのに配当利回りが3%を超えており、注目です」(岡山氏)
もちろん、「PBR1倍割れ」の全銘柄が有望とは限らない。
「海外投資家が日本株に投資する際は、企業イメージに左右されるのではなく、業績や将来性、市場環境などを細かく調査したうえで、投資の可否を判断しています。その観点を持ち、PBRが低いままで据え置かれている一方、業績などの成長性が十分にあると考えられる銘柄が、『今が買い』と言えるでしょう。実際、まだ割安で放置されている大手有名企業株は、ここに挙げた以外にも残されているはずです」
「PBR1倍割れ」は割安か否かを判断する指標の一つに過ぎないことに留意しながら、検討を進めるのがよさそうだ。
※週刊ポスト2023年5月26日号