保有する純資産に比して株価が割安な大企業の「低PBR銘柄」が関係者の注目を集めている。3月末、東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業などに向けて、株価水準を引き上げるための具体策を開示・実行するよう要請した。取引所が企業に要請する内容としては異例のことだが、はたして東証プライム市場の約4割を占めるとされる「お宝株」は今が仕込み時なのか──。
仮に、企業の収益性や将来価値を示すその他の指標が好調な場合、PBR1倍割れは「将来性が高いのに市場では評価されていない銘柄」となり、投資家からすれば「割安」な“お宝銘柄”の可能性が高いことを示す。
「PBR1倍割れ銘柄」の今後に国内外の投資家の期待が集まるなか、専門家が注目する25銘柄を別掲の表に示した。
飲料大手のコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(HD)や石油元売り国内2位の出光興産、総合家電大手のパナソニックHD、電子部品・電気製品大手の京セラ、成長著しいホームセンター大手のコーナン商事など、日本人に馴染み深い有名企業が、「PBR1倍割れ」の注目銘柄として挙げられている。
一方、ブルーシート製造国内トップの萩原工業や漁網・漁具製造のニチモウなど、一般消費者には馴染みのない銘柄もあり、その顔ぶれはバラエティに富む。
海外投資家が狙うのは…
競争力のある優良銘柄を割安価格で買う投資手法で知られるバフェット氏も、かねて日本のPBR1倍割れの優良企業に注目しており、2020年8月までに伊藤忠商事、丸紅、三菱商事などの5大商社に投資して大きな利益を手にしている。そうしたなか、マーケット・アナリストの平野憲一氏(ケイ・アセット代表)が「割安株に注目するウォーレン・バフェット氏が、商社の次に買う日本株」として大胆に予測するのは「建設業界」だ。
「建設セクターには“もの言う株主”として知られる海外ファンドが大株主の企業が少なくなく、その要求に応じて今後も株主還元を強化することが予想されます。なかでも特に注目されるのが、大手ゼネコンの大林組と、中堅ながら配当利回りが5.93%と非常に高い奥村組です」(平野氏)