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不妊治療の保険適用で高齢出産を取り巻く環境に変化 人工授精・体外受精の費用はどう変わったか

体外受精の流れ

体外受精の流れ

不妊治療の保険適用は高齢出産の希望に

 40~50代で初産の人が増えているからといって、20代のときのように自然妊娠するのはまれなケースだ。基本的にはTさんのように不妊治療をすることになるのだが、この不妊治療の一部が昨年4月から保険適用になったことは、高齢出産を望む人たちにとって大きな福音になった。

 これは、婚姻(事実婚含む)関係にあり、治療開始時点の女性の年齢が43才未満の人たちが対象で、適用回数に条件はあるが、人工授精などの一般不妊治療、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療が3割負担で受けられる。

「高度不妊治療の一部も保険適用になり、高齢出産を取り巻く環境は好転しました」と、生殖医療で知られる杉山産婦人科の医師・月花瑶子さんも言う。では、不妊治療とは具体的にどのようなことをするのだろうか。

「不妊治療はまず、検査(血液検査、子宮卵管造影、精液検査など)から入ります。この一部にも健康保険が適用されます。その後、月経周期から排卵日を予測し、性交のタイミングを医師が指導します」(月花さん・以下同)

 これをタイミング法といい、基礎体温や卵子の直径、血中・尿中の黄体化ホルモンの数値などを見ながら、妊娠しやすい日を割り出して性交のタイミングを伝える。

「これで妊娠しない場合、人工授精することになります。排卵時期に合わせて、子宮内に直接、濃縮した精子を注入する方法です。これらすべてに保険が適用され、費用はタイミング法で数百円~2000円程度、人工授精が約5000~1万円となります」

 これでも妊娠・出産までたどり着けない場合は、高度不妊治療である体外受精に歩を進めることになる。

「体外受精は、体外に取り出した卵子と精子を特殊な培養液の中で受精させ、その受精卵が細胞分裂をして“胚”になったら子宮内に戻す(胚移植)方法です」

 卵子を体外に取り出すことを“採卵”といい、腟から卵巣に穿刺針を入れ、成熟した卵子を卵胞液とともに吸引して回収する。麻酔をかけて行われ、痛みはさほどない。

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