「このときに、ホルモン剤などを服用し、採卵しやすいようにします。体外受精には1回約50万円もかかっていましたが、保険適用後は約7万円になったため、希望者が増えました」
さらに、パートナーの精子の数が少なかったり、生殖能力が弱いと、顕微授精という方法を取ることもある。
「これは、7ミクロンのガラス針を使い、成熟した卵子に状態がいい精子を1つ注入し、受精させる方法です」
これも保険適用により、約60万円かかっていたのが、約8万円になった。
高齢出産成功の肝は卵子の“若さ”
保険適用によって高度な医療を受けやすくなったとはいえ、20代で出産するケースに比べると、やはり高齢出産にはリスクがある。日本の場合、体外受精は母親の卵子で行うのが一般的だが、加齢とともに卵子は弱り、妊娠しづらくなるのだ(着床不全)。妊娠しても流産する確率が高まる。
「着床不全とは、体外受精などで良好な胚を3回以上移植しても、妊娠反応を得られないケースです。さらに、せっかく着床して妊娠しても、母体が胎児を育てられずに流産してしまう“不育症”になる確率も年齢で上がります」
出産には実年齢以上に“卵子の若さ”が肝になるのだ。これを解決する方法としていま行われているのが、卵子や胚の凍結保存だ。
「年齢の高い女性が妊娠を望む場合、少しでも若い卵子を使った方が妊娠しやすいため、先に採卵して一定数の凍結胚を作ってから子宮に戻す人もいます。そうすれば、卵子を採った年齢時での妊娠率が期待できます」(河合さん)