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不妊治療の保険適用で高齢出産を取り巻く環境に変化 人工授精・体外受精の費用はどう変わったか

赤ちゃんの姿がわかるまで成長した妊娠6か月のエコー写真。高齢出産の場合、ここまで流産せずに育めないケースも多い(Getty Images)

赤ちゃんの姿がわかるまで成長した妊娠6か月のエコー写真。高齢出産の場合、ここまで流産せずに育めないケースも多い(Getty Images)

 40代で出産した場合でも、30代で凍結した胚を使っている場合があるのだという。つまり、卵子や胚を若いうちに凍結しておけば、高齢出産成功の確率は上がるのだ。

 しかし現在、不妊治療の一環としてではなく、将来に備えた卵子凍結費用や保管料は保険適用外だ。採取に約40万円、年間保管に約1万~3万円を要する。東京都のみ2023年に、健康な女性の卵子凍結にかかる費用を1人あたり30万円程度助成すると公表した。

 政府は今後、少子化対策として児童手当の所得制限撤廃や多子世帯への手当の加算、医療費を高校3年生まで無償化、給付型奨学金の対象所得を年収600万円世帯まで拡大するなど、子育て世帯への負担軽減策を打ち出していく予定だ。しかし産んだ後の助成よりも、そもそも産む前の助成や援助が、産みたい女性たちにとっては急務なのだ。冒頭のTさんはこう語る。

「20代で産むのも育てるのも、負担が少ないのはよくわかっています。でも、20代での結婚ですら、私には考えられなかった。結婚したらしたで“子供はまだ?”という周囲からのプレッシャーもあります。私だって子供はほしい。でも、私のタイミングで産ませてほしいんです」

 早く結婚させよう、早く産ませようという政策をとるのではなく、女性が産みたいタイミングで産める社会の実現こそ、少子化対策の希望になるのかもしれない。

【プロフィール】
河合蘭さん/出産ジャーナリスト。1986年より出産に関する執筆活動を行う。東京医科歯科大学、聖心女子大学等の非常勤講師も務める。2016年『出生前診断』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。

月花瑶子さん/日本産科婦人科学会専門医・生殖医療専門医。北里大学医学部を卒業後、日本赤十字社医療センター、愛育病院に勤め、現在は杉山産婦人科で不妊治療に従事する。

※女性セブン2023年6月1日号

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