原油価格については6月以降、上値の重い動きとなったもの、OPECの減産合意を受け、今後、強含みに推移する可能性があるとみている。原油価格の上昇は、石炭や石油製品、化学工業品の価格上昇を通じ、物価全体を押し上げる効果がある。
このように、コストアップ型の物価上昇分があることは考慮すべきであろうが、それでも、国務院が今年のコントロール目標とした3%前後と比較すると、まだ相当余裕がある。利上げの検討をしなければならないわけではない。
国務院は、不動産価格コントロールを強める可能性があるが、一方で、供給側改革、PPP(公民連携)によるインフラ投資、混合所有制国有企業改革、一帯一路戦略、戦略的振興産業の発展・育成などの政策・戦略を加速させるだろう。
共産党による経済運営目標は表面的な成長率を高めることではなく、いろいろな面から構造的な問題を解決することで成長の質を高めることにある。
そうした観点からすれば、いろいろな政策、改革を実行しようとしている中で、景気が上向いていることは望ましい。景気は共産党によってうまくコントロールされている。今後中国経済は、加熱することなく、緩やかに成長率を落としていくことになるだろう。