米国でもナスダック指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の強い動きが続いているが、一方でダウ平均は4月以降の保ち合いを下放れてきている。生成AI(人工知能)ツールの普及を背景にハイテクブームが巻き起こっていることは悪いことではないが、ハイテクに一極集中しているような今の相場は心もとない。
東証によると、5月19日時点の裁定残高はネットベースで1兆275.58億円の買い越しとなっており、ネットの買い残はまずまずの水準にまで積み上がってきた。長期目線の海外投資家も動きはじめたことは支援材料ではあるが、足の速い短期筋の買い持ち高もかなり積み上がっているとみられ、上値追いには慎重になりたい。
今週は中国で31日に5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、6月1日に財新製造業PMIが発表されるほか、米国では1日に供給管理協会(ISM)の5月製造業景気指数が、週末2日には5月雇用統計が発表される。中国では経済指標の下振れが続き、すでに年頭にあった中国経済の回復期待は剥落している。加えて、足元では新型コロナウイルスの感染が再拡大していることも懸念されている。このため、弱い指標結果となれば中国地域での売上比率の高い銘柄の売り圧力となりそうだ。また、米国でもサービス業の堅調さは続いている一方、先週に発表された5月製造業PMI速報値は景況感の拡大・縮小の境界値である50を再び割り込むなど、製造業の停滞が確認されている。ダウ平均の下落が続いているところからも窺えるが、景気後退懸念は強く、ISM製造業景気指数の結果を注視したい。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡っては、FRB内部でかなり意見が分かれているようだ。ただ、24日に発表された英国4月消費者物価指数(CPI)の大幅な上振れや、ウォラーFRB理事のタカ派発言、米経済指標の上振れを受けて、6、7月会合いずれかでの利上げが織り込まれつつある。米金利も上昇し、10年債利回りは3月中旬以降の均衡点だった3.5%から大きく上昇してきている。米債務上限問題に焦点が集まるなか、今のところ米金利の水準自体への関心は低いが、米雇用関連の指標を受けた金利動向は注意深く見守っておいた方がよいだろう。
今週は30日に4月失業率、4月有効求人倍率、米3月FHFA住宅価格指数、米5月消費者信頼感指数、31日に4月鉱工業生産、4月商業動態統計、4月住宅着工統計、中国5月製造業PMI、米4月JOLTS求人件数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、6月1日に1-3月期法人企業統計、5月新車販売台数、中国5月財新製造業PMI、米5月ADP全米雇用統計、5月ISM製造業景気指数、2日に米5月雇用統計、などが予定されている。