「故郷にある両親のお墓になかなかお参りができない」「お墓の維持管理を子どもにさせるのは申し訳ない」「自分が死んだら、お墓を継ぐ人がいない」──。こうした思いから、「墓じまい」をする人が増えている。「わが家もできることなら」と考えている人も多いだろう。しかし、「墓じまい」という言葉は知っていても、具体的に何をどうしたらいいのかよくわからないもの。
「墓じまいに慣れている、という人はほとんどいません。ご相談で多いのも、『手順がよくわからない』というものです。一方で、断片的な情報は入っているので、『大変そうだ』という印象が強まって、先送りにしてしまうケースが多いですね」
そう指摘するのは、お墓に関する相談等を行う「日本仏事ネット」代表で、1級お墓ディレクタ―の寺田良平さんだ。墓じまいの流れと費用について、寺田さんに聞いた。
「改葬」と「墓じまい」の違い
最初に確認しておきたいのが、自分が希望しているのが本当に「墓じまい」なのか、だ。お墓を整理する手段として「改葬」という方法もある。
「お骨を別の場所に移すのが『改葬』。いわば、お骨のお引っ越しです。一方で『墓じまい』は今あるお墓を更地にすることです」(寺田さん・以下同)
「改葬」だけを行った場合、もともとあったお墓はそのまま維持される。一方、すべてのお骨の改葬をして、墓石も撤去し、お墓が立っていた土地を墓地の管理者に返すとなれば「墓じまい」となる。