さらに、1980年から20年ごとの年齢別未婚人口に対する初婚達成率(対未婚人口)を男女別年齢別に比較したのが次の図である。
初婚達成率とは、当該年齢層ごとに初婚数を未婚人口で割ったものだ。内閣府が出している少子化社会対策白書にも初婚率を掲出しているが、なぜか分母を有配偶も含めた総数で計算しているのでまったく妥当性がない。それでは、未婚者当たりどれくらい初婚したかの初婚率指標にはならない。私が独自に計算した初婚達成率は、各年齢層の初婚数を同年齢層の未婚人口で除したもので、より正確性が高いと思う。
これによれば、男性は25−34歳、女性は25−29歳での初婚達成率が激減しているが、かといって晩婚化しているかといえばそうでもない。実は35歳以上で見るとほぼ変化はないのだ。女性に関しては、40年前も今も35歳以上の初婚達成率はほぼ一致している。男性に至っては、むしろ1980年より2020年の方が35歳以上の初婚達成率は下がっている。これを見る限り、男女とも晩婚化とはいえない。
晩婚化というのであれば、少なくとも中高年の初婚達成率が上昇していないとおかしい。しかし、20代までの初婚達成率の低下に対して、それが決して30代以降に後ろ倒しになったわけではなく、35歳以上も40年前とたいした違いはないわけで、これは晩婚化ではなく、むしろ、「若者が若者のうちに結婚できなくなったから」だと解釈するのが妥当だ。
若者の可処分所得は減り、天引き負担は増えた
若者が若者のうちに結婚に踏み切れない要因のひとつに経済的問題がある。
「失われた30年」といわれるように、給料が上がらない時代が続いている。実際、国民生活基礎調査に基づき、29歳以下の若者が世帯主の年間可処分所得の中央値を計算すると、2021年ですら、わずか272万円にすぎない。半分以上が300万円にすら達していない。1996年の可処分所得は281万円だったので、25年も前の20代より減っているのだ。