「エステなんて、別世界の話と思っていた」
別の都内の私立大学に通うヒマリさん(仮名)は四国出身。彼女も、「周囲の美に対する意識がすごく高くて、最初は震えました」と振り返る。
「まず、東京は美容に関する情報や、サロン、病院がめちゃくちゃ多いですよね。周囲の子たちも、例えば脱毛はもう“当たり前”だという認識で、ローンを組むのも珍しい話ではありません。エステに通っている子もいて、心底びっくりしました。エステなんて、別世界の話かと思っていたので……。思わず『高くない!?』と言うと、『自己投資だから』と返されて、言葉に詰まってしまいました」
大学だけでなく、東京にはきれいな人が多いという印象を受けたというヒマリさん。地方と東京では「格差がある」と言う。
「東京に来て、まず電車内で、整形や脱毛といった美容関連の広告の多さに驚きました。さらには渋谷や原宿といった都心は、歩くだけで自然に美容情報が目に入ってきます。
しかも、脱毛一つとっても、サロンや病院の数が多く、いろんな選択肢がある。ネットには情報が溢れていても、実際のサービスにアクセスしやすいのは都会ならではですよね。人の数も多いし、例えば手軽にできる脱毛の広告が溢れた結果、やる人が多くなると、どうしても平均値が上がる。これが東京の“普通”なら、地方とは“普通の格差”があるなあと実感します」(ヒマリさん)
九州出身で、東京の国立大学に通うユウコさんは、「東京の私立高に通っていた子は、歯並びがきれいな率も高い気がする」と指摘する。
「みんながみんな歯列矯正しているわけではないと思いますが、東京に住んで、私立に通わせるぐらいなので、親がお金があるうえに、子供に対してそういった部分への意識も高いんだと思います。親の子供への投資も、都会のほうがすごいですよね。私も歯列矯正には興味がありますが、社会人になってお金が貯まったらかな……」(ユウコ)
どこに「投資」するかは、本来人それぞれ。だが、東京の“普通”を目の当たりにして、不安に駆られている地方出身学生は少なくないのかもしれない。(了)