ここ数年、電車内やインターネット上などに急増している、美容整形や脱毛、痩身に関する広告。なかには「二重まぶたのほうが美しい」「脱毛していないと恥ずかしい」「太っていたらモテない」……など、人の身体的特徴とそれに伴うコンプレックスを刺激することで不安を煽るような広告も目立つ。これらは、いわゆる「コンプレックス広告」と呼ばれるものだ。
最近、SNSを中心に大きな話題となったのが、ある美容整形外科が電車やバスなどに出稿していた、10代の女性向けの目の二重整形を取り扱った広告だ。校庭を走る女子高生3人の写真に、「たった3年の高校生活。1秒でも早くカワイイ私で過ごしたい。」というキャッチコピーが掲げられていた。
こうした明らかに高校生をターゲットにしていると思われる美容整形の広告に対して、「若年層にコンプレックスを植え付けかねない」などという批判の声がネット上で多く見受けられたのは、記憶に新しい。
自分が毛深いと思われてないか、視線に敏感になった
コンプレックス広告は、「自分(の容姿や身体的特徴)は、人よりも劣っている」という劣等感を刺激することで、強い訴求力を持つと言われる。これらはルッキズム(外見至上主義)や、差別意識を増長させるとして、出稿を制限する動きもあるが、まだまだあらゆる場所で目にする機会がある。
実際に、日々コンプレックス広告を目にしている女性たち、とくに保護者の同意なく契約ができる成人を迎えたばかりの女子学生たちは、どのような心境で、こうした広告を受け止めているのだろうか。飲食店でアルバイトをしながら、都内の私立大学に通う女子学生・Aさん(19歳)は、こう話す。
「私が一番気になるのは脱毛広告ですね。自分は中学、高校時代から脱毛をしたいと思っていたのですが、親からは『やりたければ自分でお金を貯めてからするように』と言われていたので、実はまだ脱毛ができていません。周りの女子ともよく脱毛の話をしますが、『初回100円』とか、そういった言葉に釣られて18歳でローンを組んで、結局何十万円も払う羽目になった、なんていう話も聞きます。
とはいえ、電車の広告だけでなく、YouTubeの広告でも日々脱毛広告が流れてくるので、体毛が恥ずかしい気がしてしまう。とくにYouTubeには『毛深くて彼氏に振られ、恋愛に失敗した』みたいなアニメーションの広告が多いんですよ(笑)。そういうのを刷り込まれているからか、自意識過剰かもしれないけれど、他人から自分が毛深いと思われていないか、視線に敏感になってますね」(Aさん)