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ウクライナ反転攻勢でもロシアは全面撤退しない ゼレンスキー大統領が目指すべき“戦争終結の落とし所”

「ロシア・ウクライナ戦争」戦況MAP

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ロシア“第3の核”阻止が最優先

 これから何よりも危惧すべきは、劣勢になったロシアが「核」を使用することだ。都市を壊滅させるような大規模な破壊能力を持つ「戦略核」までは使わないにしても、個々の戦場で敵の軍事拠点などに限定して使用する「戦術核」については、プーチン大統領が同盟関係にある隣国ベラルーシに配備すると決定している。しかし、ロシアが戦術核を使用したら、米欧も報復攻撃に踏み切り、核戦争に突入しかねない。

 そこでロシアは、核兵器を使わず、それに相当する被害を与える方法を考えているかもしれない。すでに占拠しているザポリージャ原子力発電所に爆弾を仕掛け、放射性物質を使ったテロ行為を準備している可能性があると報じられている。

 もし、6基の原子炉があるザポリージャ原発をロシア軍が撤退時に遠隔操作で爆破したら、大量の放射性物質がウクライナ全土とヨーロッパに撒き散らされる。「戦略核」でも「戦術核」でもないが、甚大な被害を生む“第3の核兵器”だ。

 今回、広島を訪れたゼレンスキー大統領は「現代の世界に核による脅しの居場所はない」としてプーチン大統領の核使用を牽制したが、どんな核攻撃も絶対に阻止しなければならない。そのためにも、まずは前述のような着地点で停戦にこぎつけ、ウクライナの復興・再生に向かうべきなのだ。

 そして、停戦後しばらくしたら、ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)とEU(欧州連合)への加盟を目指せばよい。そうやってウクライナが米欧との同盟関係を強化すれば、ロシアの再侵攻は難しくなる。それでも5年後、10年後には再び局地的な紛争が起きるかもしれないが、とにかく和平を実現することが、今後のゼレンスキー大統領の最も重要な責務だと思う。

 一方のプーチン大統領は、東部2州の親ロシア派支配地域と南部2州のドニプロ川以南を獲得すれば、「本当の戦争に勝利した」と宣言できて面目を保てる。だが、もはや彼に求心力はないし、健康面の不安も取り沙汰されているから、遠からず退陣することになるだろう。

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