「最大で」と言えばなんでもあり?
たしかに、内閣府ホームページの「児童手当制度のご案内」を見ると、支給額を示す表の脚注に〈※「第3子以降」とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目以降をいいます。〉と明記されている。3人兄弟の長男が高校を卒業したら、三男は「第3子」ではなく、「第2子」になり、児童手当の増額はなくなるということだ。
新たに拡充される児童手当において「第3子」の定義がどうなるか、岸田首相は会見で一切言及しなかった。もし、現行制度のままだとすれば、岸田首相が堂々と言い放った〈3人のお子さんがいるご家庭では、お子さんたちが高校を卒業するまでの児童手当の総額は、最大で約400万円増の1100万円となります〉というケースは相当限られる。増額された月額3万円の児童手当を18年間まるまる受け取れるのは、第1子の高校卒業と第3子の高校卒業が同時になる「3つ子」や「双子+同学年の年子」といったケースだけだ。
ちなみに人口動態統計から算出すると、いまの日本における双子の分娩割合は約1%、3つ子に至っては約0.02%となる。
具体的な数字の前に「最大で」と前置きしているから、嘘ではないと言うつもりなのだろうか。一国の総理大臣が詐欺まがいの業者のようなセールストークをしていると言われたくないなら、「第3子」の定義をどういったものにするのか、早急に明確にすべきではないか。(了)