住まい・不動産

「実家が不審者のアジトに」「シロアリが繁殖し隣家まで」… 不動産エージェントが見た「空き家トラブル」の恐ろしさ

シロアリが繁殖し、隣の家に侵入…

 不審者の侵入以外にも、空き家トラブルには様々なケースがあります。特に木造住宅の場合、シロアリの問題も見逃せません。

 私が目撃したあるケースでは、やはり空き家を長年放置したせいで、家屋が腐り、シロアリが繫殖していました。さらに、庭木なども放置して伸び放題になっていたため、庭に置いてあった腐食した木材にシロアリが繁殖し、隣の家にも移動していました。シロアリが隣家に被害を与えていた場合、近隣関係の悪化に加え、場合によっては隣家への弁償が必要になるケースもあるので、注意しなければなりません。

 木造住宅は定期的に窓を開けて換気し、家屋を乾燥させる必要があります。理想は春夏秋冬の毎シーズンごとにメンテナンスしたいところですが、それが難しい場合でも、梅雨~夏の時期には一度状況確認とメンテナンスしておいたほうがよいでしょう。大雨や台風によって大きな被害が出ることがあるので、そのための備えも必要です。

 木造住宅の場合、火災も心配事のひとつです。日本には失火責任法という法律があり、出火元が無限に責任を負うことはないのですが、火災が延焼した場合、近隣住民としてはたまったものではありません。当然、そうなる前に空き家の持ち主にさまざまな対応を求めることになります。

 空き家を放置すると、こうした思わぬトラブルに巻き込まれてしまうリスクが高まるのです。

「マンションの隣の部屋から悪臭」で騒然

 ちなみに、「空き家放置トラブル」は戸建てに限った問題ではありません。むしろマンションの空き家のほうが、より深刻なトラブルに発展する場合もあります。

 あるケースでは、長年空き家になっていたマンション内に残置物があり、その中に食べ物や生ゴミが混じっていたため、悪臭が発生して漏れ出していました。「隣の空き部屋から正体不明の悪臭が漂っている」と、マンション中で大騒ぎになり、「もしかしたら中で人が亡くなっているのではないか」と、心配されるほどでした。

 当然、空き部屋の所有者には近隣から苦情が寄せられますし、「悪臭のためにマンションが思うように売れなかった」といった場合、金銭的なトラブルに発展する可能性もあります。

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