「最大2万円分のポイントを付与」など、これまで国を挙げて大キャンペーンを行い、政府が事実上の義務化を目指すマイナンバーカードだが、ここに来てトラブルが多発し、大きな問題となっている。
公金受取口座がまったくの別人の名前で誤登録されていたケースが748件あり、本人ではない家族名義の口座の誤登録は13万件もあった。さらにマイナポータル(政府が運営するオンラインサービス)で他人の年金記録が閲覧できる問題も明らかになった。
国は、金融機関の口座情報もマイナンバーカードにひもづけるよう推奨している。各種給付金など、公金受取の手続きがスムーズになると強調するが、そもそも、コロナ禍も終息しつつある中、今後あのような給付金があるかは不透明だ。出るかどうかもわからない給付金のためだけに情報漏えいのリスクを取り、自分の口座情報が国に筒抜けになるのを受け入れられるだろうか。なかにはマイナカードの返納を考えている人もいるようだ。
マイナカードと健康保険証をひもづけた場合、解除することはできないが、口座のひもづけは簡単に解除することができる。マイナポータルサイトにアクセスし「口座情報を削除する」を選択するだけでいい。ひもづけているのが口座だけなら、登録を解除してから、マイナンバーカードそのものを返納できる。経済ジャーナリストの荻原博子さんはこう話す。
「もしすでにマイナ保険証を登録していても、せめて口座情報の流出だけは抑えるために、ひもづけの解除は有用です。また現在、Androidスマホはマイナンバーカードの搭載機能がついているので、カードではなくスマホにマイナ保険証を入れれば、生体認証やパスコードロックなどスマホ自体が持つセキュリティーによって、ハッキングなどのリスクはわずかながら下げることができます」