マイナ保険証で「無保険状態」のリスク
6月2日には、現行の健康保険証を2024年秋に原則廃止することを盛り込んだ法案が、国会で成立した。「マイナ保険証」への移行が実質的に義務化され、現行の保険証は「実質廃止」となる。もはや、マイナカードを持たない手はないのか……と不安になるが、まだ手はある。
政府は2024年秋以降はマイナ保険証を持たない人でも保険適用が受けられるよう「資格確認書」の発行を決定。有効期限は1年だが、更新することも可能で、これがあればマイナ保険証を持つ必要はなく、被保険者の資格を失うことはない。だが、これで一安心とはいかない。すでに4月から、従来の保険証を使った受診は、マイナ保険証よりも受診料が40円(自己負担額12円)高くなっている。
「もし資格確認書を申請できなかったり、遅れたりすれば“保険料を納めているのに無保険”になる事態も大いにありえます」(荻原さん・以下同)
国はマイナ保険証の導入について、過去の処方薬や特定健診などの履歴が受診先の医療機関で直ちに共有されることなどを挙げ「医療の質が上がる」としているが、現時点で、その実感はまったくない。
政府は国民を「無保険」のリスクにさらしてまで導入を促しているが、運用を始めた医療機関はわずか7割にとどまり、さらにその医療機関の4割で不具合などが発生。「無保険者」が増えるリスクやこうしたトラブルなどから、6月2日、全国保険医団体連合会が抗議声明を出すなど、足並みは揃っていない。
加えて6月6日、デジタル庁は2026年に「新マイナンバーカード」を交付する計画を発表した。いま、私たちが肝に銘じておくべきなのは、政府の発表に惑わされず、正しい情報を得て行動することだ。
「口座や保険証のひもづけは“拒否”しなければ半ば自動的に手続きがなされてしまいます。資格確認書も、自ら申請する必要がある。役所や年金機構などの公的機関からの書類でも“拒否の意思表示をしない限り同意したものとする”という通知があり、知らない間に情報がひもづけられていた、ということも充分考えられます。公的機関からの書類は絶対に放置せず、必ず目を通すようにしてください」
不安な人は、少しでも自衛しておきたい。
※女性セブン2023年6月29日号