いくら電気代が高いからといって、年々激化する猛暑の中「エアコンをつけずにがまんして過ごす」というのは愚策だ。
目安は「28℃」といわれるが、これはあくまでも「室温」のこと。
「エアコンの設定温度を28℃にしても、部屋の広さや日当たりによっては、室温がそれより高くなっていることも少なくありません。室温計を使って適切な温度に管理するのがベストです」(矢野さん)
設定温度と併せて調節したいのが「湿度」だ。
「80%の湿度が60%になるだけで、体感温度が4℃下がるというデータがあります。ただし、エアコンの除湿機能には、弱い冷房をかけながら除湿する『弱冷房除湿』と、部屋を冷やしすぎないよう、空気を温め直しながら除湿する『再熱除湿』の2種類があり、後者はむしろ電気代が割高になります。自宅のエアコンの除湿機能がどちらのタイプか、説明書でチェックするといいでしょう」(丸山さん・以下同)
扇風機と併用することで電気代を下げるテクニックもあるが、やり方を間違えると逆効果だ。
「昨年の夏、わが家ではエアコンの設定温度を30℃にして、扇風機を併用していました。部屋全体を冷やすより、自分に風が当たるようにするのが結局、いちばん涼しいんです。扇風機には安価なACモーターと、やや高価なDCモーターの2種類がありますが、少し値段は張っても、DCモーターの方が効率がよく、結果的に電気代が安くなります」
「クールリング」は室内でも屋外でも活躍
エアコンがもっとも電気代を“食う”のは、起動したとき。部屋が暑く、室温と設定温度が離れていればいるほど、多くの電力を必要とする。そういったときには、保冷剤などで首や手首、足首、わきの下、ひざの裏など、太い血管が通っているところを冷やすと、効率的に体温を下げられる。
「昨年夏に大流行した、首につける『クールリング』は20℃前後で凍結するため、冷凍庫を使わなくても水だけで凍らせることができ、室内でも屋外でも使えます」(矢野さん)