岩田:維新に対する支持を全国区にするには、地方組織の強化が必須だと思いますが、その点はいかがですか。
橋下:その通りなんですが、地方議員を単純に増やしていくということをやっていたら、100年単位の作業になってしまいます。
維新は2021年10月の衆院選で、大阪の19選挙区のうち、4議席を公明党に譲りながら、15議席を取り、自民は比例復活のみの2議席という壊滅状態になりました。なぜこうなったのかというと、大阪維新は大阪府知事・市長だけでなく、府内43市町村のおよそ半数の首長を取ったから。行政権を握って政策を実行し、維新の政策を有権者に体感してもらうことで支持が広がった。
岩田:それと同じことを他の地方でもやると。
橋下:そうです。だから、首長を取らないとダメだと思います。首長を取ると、国会議員も増えるというサイクルです。
野党候補だけの予備選を
岩田:確かに首長を取るという戦略は今後のカギですね。大阪では、議員や官僚の報酬削減など「身を切る改革」が大きな共感を得てきました。ただ今後、全国的に支持を広げるには、身を切る改革だけにとどまらない看板政策が必要ではないでしょうか。
橋下:今の維新に足りないのは、まさにそれです。いったい何を掲げるのか。今、企業経営の世界では「パーパス経営」という言葉が流行っていますが、パーパス(存在意義)が弱いなと思う。
岩田:維新としての存在意義を示せていないと。
橋下:大阪維新には大阪都構想という看板がありましたが、日本維新は教育の無償化やベーシックインカムなどいろいろ出してはいるけど、メンバーが人生を懸けてでもやるという熱量を持てる看板がない。馬場(伸幸・代表)さんら執行部は一生懸命考えているとは思いますが。
岩田:為政者は、情熱、パッションを持ち続けることが絶対に必要だと思うのですが。
橋下:政治ってパッションだけでやるようなものですからね。逆に岩田さんにお聞きしますが、維新は何を掲げるべきだと思いますか。