公務員の理想と現実「給料が同期の約半分」
しかし、現実は違った。市役所にもよるだろうが、中西さんが定時で帰れるのは週に一回だけだったという。
「定時は8時30分から17時15分でしたが、この時間で帰っている人はほとんどいませんでした。残業は当たり前で、サービス残業もしょっちゅう。日付が変わる時間まで残業した日もありました」
そんなハードな仕事に比して給料が安いこともショックだった。総務省「令和4年地方公務員給与実態調査」によれば、全地方公共団体の平均給与(全職種)は41万3202円(残業代込。残業代抜きだと36万9733円)。国家公務員なら41万3064円(諸手当込)だ。
「1年目の年収は320万円ほどで、ボーナスを除くと手取りは18万円ぐらいだったと思います。卒業後、同級生との飲み会なんかで給料の話になると、正直そんなに忙しくもなさそうなのに、僕の2倍近くの給料をもらって都心で一人暮らしをしている人もいました」
実家暮らしじゃないとやっていけない
神奈川県在住のフリーター・加藤さん(仮名、31歳女性)は私大卒。中西さん同様、新卒で地方公務員になったものの、最近その職を手放した。
「まず、就職では給料は“普通”でいいから、実家になるべく近いところがいいなと思ったんです。実家にいたほうが絶対楽だし、余計なお金も使わずに済むからです。給料については、高収入の人は激務な印象があって、それは嫌だなと。転勤もイヤでした。それで、なんとなく定時で帰れて、休日出勤もなさそうな地方公務員を目指しました」
しかし加藤さんも、中西さん同様「給料の割に、ずっと忙しかった」という。