「家に帰り着くのは、夜9時か10時くらいが当たり前。帰宅するとお風呂に入る気力もなく、寝てしまうことが多かったです。実家住まいで、親がある程度家事をしてくれていないと、絶対に続かないと思いました。
先輩を見ていると、手取りが20万を超えるのは30歳を過ぎてからやっとといった感じでした。残業代や時間外手当はあらかじめ予算が決まっているので、それを超えるとサービス残業になります。仕事を頑張っても給料が上がるというわけではないし、典型的な年功序列です。
しかも、仕事ができて評価が良い人ほど、人手が少ない激務部署に配属されてしまうことから、“ほどほど”にしている人も多かったです。公務員って、よく『安定』と言われますよね。たしかに倒産することはないのかもしれませんが、“安定=楽”というのは大間違い。実際、ワークライフバランスは全然安定しませんでした……」
結局、加藤さんは「お金にならない激務は続けられない」と退職。現在は“充電期間中”ということでバイト生活をしているという。
安定を求めて、狭き門をくぐって公務員になったものの、理想と現実のギャップに戸惑い、辞めていく若者たちも少なくないようだ。(了)