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元職員が明かす市役所勤務の“負の側面”「プライベートは市民に監視されてる」「悪質なクレーマー対応に疲弊」

市民の耳に声を傾けることが仕事だが…(イメージ)

市民の耳に声を傾けることが仕事だが…(イメージ)

 地域に密着し、住民に寄り添いながら生活環境を整える地方公務員。責任も大きく、やりがいのある仕事のように見えるが、意外にも退職する人は少なくない。

 総務省「令和3年度 地方公務員の退職状況等調査」によると、離職者は12万9713人。そのうち普通退職者(定年や早期退職募集、勧奨退職以外)は4万9767人で、離職者全体の38.4%だ。せっかく狭き門をくぐり抜けて就いた職を辞めてしまうのはなぜか。

 東京都内の公立進学校から一橋大学を経て、都内の市役所に勤めるも、3年弱で公務員を辞めた中西さん(仮名、27歳男性)の場合は、「住民対応の大変さ」と「プライベートのなさ」が理由のひとつだった。中西さんが、市役所勤務の“負の側面”と、葛藤した日々を明かしてくれた。

「なんでこんな仕事をしているのか」

「公務員になる前と後で、仕事の印象はかなり変わりました。最初は市民のために働けるなら、やりがいもあるだろうと考えていたのですが、実情は違いました。

 例えば、印刷物を一枚ずつ数えるだとか、封筒の中身を目視で確認するといった仕事がよくあるんです。もちろんそれも大切な仕事であることは確かです。

 市役所から送る郵便物などは、基本的にすべて手作業です。あるとき、届ける書類と宛先の住所を間違えていたことがありました。その数は1500通で、確認時に気がついたため大事にはなりませんでしたが、一歩間違えれば大規模な個人情報流出につながりかねないところでした。

 人が確認しながら進めるのも大事ですけど、いろいろ効率が悪すぎる。どうして人間がやらなきゃいけないのか、と思うようなものも、たくさんあります」(中西さん、以下同)

 いつしか感情を押し殺し、機械のように仕事をするだけになったという中西さん。ふと「自分の存在意義」を考え、やるせなさがこみ上げてくることがあったと明かす。

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