キャリア

元職員が明かす市役所勤務の“負の側面”「プライベートは市民に監視されてる」「悪質なクレーマー対応に疲弊」

役所の職員にプライベートはない?

 ただ、中西さんが辞めた一番の理由は、「役所の職員にはプライベートが存在しないこと」だったという。

「端的に言えば常に“監視”されているんです。市民から『とあるスーパーで〇〇課の△△さんが日中買い物をしていた』『路上でスマホを見ていた』なんていう“通報”は日常です。窓口で顔が知られていることもあり、プライベートも安心して過ごせなくなります。そんな理由もあってか、僕の勤めていた役所では職員の4割が、同じ市ではなく近隣の自治体に住んでいました」

 実際、職員の行動に対する市民からのクレームは少なくない。昨年9月、都内の区役所で、「職員がコンビニ前でソフトリームを食べている」と苦情の電話が寄せられたことも報じられている。その件では、区役所の関係者が、「それは窓口対応後に遅い昼休みを取っていたためであり、さぼっていたわけではない」と事情を説明するツイートをしたことが話題になった。役所の職員は、常に市民から見られていることを意識せざるを得ないのが実情なのだ。

悪質なクレーマーが来ると若手の男性職員が対応

 中西さんは、「公務員は市民を選ぶことができない」とため息をつく。

「なかには、『役所は俺を殺そうとしている』といった電話がかかってくることもありますが、我々はどんな人にも相手をしなければならない。

 私は3年弱勤めましたが、知っている限りで暴行事件も3件発生しました。怒鳴りに来た方が、こちらの胸ぐらをつかんでくるのです。もちろん、税金や保険料が高いとか、どこそこの公的機関が利用しづらい、といった言い分はあると思います。

 でも、こちらも人間ですし、何の権限もない若造です。目の前の業務をこなしているだけで暴行されるとなると、『僕はここにいていいのか……』と自己肯定感が下がっていきます」

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