暴行という意味では、「福祉課のような生活保護に対応する部署では、そうした案件も多いからか、特殊手当が月3000円支給されていた」という。
「特殊で危険な仕事として、役所が認知しているということですよね。また悪質なクレーマーや、毎回何かしら暴言を吐く人は、役所側でも認知しているので、そういった人の姿が見えると、緊張が走ります。押し付け合いとまではいきませんが、基本的に若手の男性職員が対応するという、暗黙の了解がありました」
最終的にメンタルが耐えられなくなり、役所を辞めたという中西さん。今はITコンサルティングの仕事をしており、「忙しいけれど、自由な生活だし、周囲は皆向上心を持っていて、尊敬できる人ばかり。タスクに対しての達成感もある。僕にとっては結局、頭を使って仕事をしている感覚が大事だと思いました」と充実感をにじませる。
中西さんでなくても、意義に疑問を抱くような仕事や理不尽な事態に直面すれば、自分と仕事のあり方に疑問を抱いてしまうケースもあるだろう。それは雇用する側にとっても、される側にとっても不幸なことではないだろうか。(了)