カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が、参院内閣委員会で審議入りし、12月14日の今国会会期末までに法案が成立することも予想されている。カジノ解禁により、恩恵を受けるのはどんな企業なのだろうか。
カジノ構想については、1999年に東京都の石原慎太郎知事がカジノ誘致を表明したことに始まる。その後、2010年にカジノ解禁を目指す超党派の「国際観光産業新興議員連盟(通称カジノ議連)」が発足した。最高顧問は安倍晋三首相が務めた。カジノ法案は2013年の臨時国会で廃案とされたが、2014年にはシンガポールにカジノを含むIRを視察した安倍首相によって「日本の成長戦略の目玉」に位置付けられた。カジノは現在、125の国・地域で合法とされており、G7(先進7か国)の中でも合法化されていないのは日本だけとなっている。
IRは、カジノを中心に、ホテルやショッピングモール、スパや国際会議場などを備え、家族連れなどカジノを目的とする人以外でも楽しむことができる集客力のある複合施設。安倍首相も視察したシンガポールでは、2つのIRが開業した2009年から4年間で外国人観光客数が20%伸び、観光収入は1.5倍となっている。もちろん収入増に伴う税収の拡大が見込まれる。
一般的に、カジノ解禁で恩恵を受ける企業は、不動産開発や鉄道、建設、警備、レジャー、ゲーム、旅行会社と多岐に渡る。その一方で、カジノ解禁によって打撃を受けるとの見方もあるパチンコ・パチスロ関連企業も、成長のチャンスを模索している。
パチンコ業界は遊戯人口が減少しており、市場は縮小の一途を辿っている。市場規模は規制強化の影響で1999年の28.4兆円から2014年には23.2兆円にまで縮小。さらに追い打ちをかけるようにパチンコ遊技機で「のめり込み対策」が強化されたことも影響し、厳しい環境となっている。参加人口は1860万人から1070万人と半分程度にまで減少。公益財団法人 日本生産性本部がレジャー白書で調査を開始した1995年には2900万人いた参加人口は3分の1となった(出典:公益財団法人 日本生産性本部 「レジャー白書2016」)。