箸袋に“クレーム”が書かれていた!?
記者が店を訪れたのは、6月上旬の平日。15時に開店すると、約1時間で30席ほどの店内は8割がた埋まっていた。多くが常連と思われるが、若い女性客の姿もある。1人客は静かに杯を傾け、どの客もリラックスした様子でお酒を楽しんでいた。
だが、この後「事件」が起こる。
「お客さん酔ってる?」――暖簾をくぐった一見の50代男性客を見て「嫌な予感」がしたのか店主が即座に声をかける。「いや、酔ってない」と言い張る客は席に通されたが、案の定……。
その後、1時間ほどしてからほろ酔いで店を出た男性。残された箸袋の紙には「常識ハズレ店長→バカ」との書き込みが。
「あのオヤジ、帰りがけに箸袋にこんな文句を書いてやがった! このパターンは初めてだな。ネットなら反論できるけど、どうしようもないな」
そう苦笑いする店主だが、箸袋の裏面に「(スタッフの)女性群、ごくろうさまです」とねぎらいの言葉があったことも見落としてはいなかった。
「まぁ、店への“ラブレター”と真摯に捉えます(笑)。賛否はあるけど、うちは、僕(店主の立場で)の常識で、対等に付き合える人がお客さん。ひどい酔っぱらいや、ろくにカネを使わず居座り続けるヤツ、従業員に横暴な振る舞いをするヤツはもってのほかで、こうした人には当然、注意します。これって、そんな面倒臭い話なのかなぁ……?」
お金を払っているとはいえ、客が「何をしてもいい」はずがないのは当然だ。飲食店苦境の時代、「我が道を行く」店主がいてもよいのかもしれない。(了)