初めての宿や飲食店に足を運ぶ際、ネットの「口コミ情報」を参考にする人は多いはず。評判の良い店、悪い店──種々雑多な書き込みはどこまで信用できるのか。“最低評価の店”に現地取材を敢行した。
今回は世界最大級の口コミサイト「トリップアドバイザー」で複数の口コミがあり、5段階で「星1つ」と認定されたもの(情報は6月21日時点)を取材対象とした。同サイトは批判的な口コミへの規制が比較的緩く、“忌憚のない意見”を検証するのに適していると考えられるためだ。
飲食店では、東京から片道5時間、秋田市の繁華街・川反に位置するバー「ル・ヴェール」が星1つの最低評価。
〈オーナーは我々に目も合わせず挨拶もせずPCに向かい他の事に没頭、何様なのでしょうか?〉
〈カクテルの味、バーとしての居心地の良さのいずれも特筆すべきものは無く、リーズナブルとは言えない価格だけが印象に残った〉
とこき下ろされている。
店を訪れると、重厚感ある木製扉の横にドレスコードの注意書きを発見。「ラフな格好での入店はお断りしております」と書かれている。
恐る恐る店内に入ると、ベストに蝶ネクタイ姿の若いバーテンダーがお出迎え。記者は襟付きのシャツだったこともあり、何も言われなかった。壁にはさまざまな洋酒やリキュール類が並び、高級感を醸し出している。カウンター奥には「常連客席」のプレートもある。
ジントニックを飲みながら、バーテンダーの伊藤秀晃氏(30)に話を聞いた。
「バーは社交の空間でもあるので、周囲の方々に失礼のないよう、当店ではドレスコードを設けております」