東京・中野区のJR中野駅北口にある「中野サンプラザ」が、7月2日をもって閉館する。1973年に開業した同施設はホテルや結婚式場、ボウリング場などを含む複合施設。なかでもコンサートホールは、数々の人気アーティストが公演を開催し、都内でも有数の人気ホールだった。
建物の老朽化に伴う建て替えで、跡地にはオフィスや住宅、店舗などが入った大型複合施設が建設される。2222人収容の中野サンプラザホールは約7000人収容の大規模ホールに生まれ変わるという。新施設の完成は2028年ごろを予定している。
昨今、東京近郊では、収容人数1万人前後、もしくはそれ以上の規模のコンサート会場が増えている。たとえば、2020年には約1万5000人収容の東京有明アリーナ、約1万2000人収容のぴあアリーナMM、約8000人収容の東京ガーデンシアターがそれぞれオープンした。また、今年9月には約2万人収容のKアリーナ横浜がオープン予定だ。
一方で、中野サンプラザの閉館も含めて、東京都心における2000人規模の会場不足が問題視されている。エンタメ事情に詳しいライターの大塚ナギサ氏が説明する。
「2010年に新宿厚生年金会館が閉館し、2015年には五反田ゆうぽうとホールも閉館、そして中野サンプラザが閉館となり、東京都心にあってアクセスも便利な2000人規模の会場がどんどん減っている状況です。
特に中野サンプラザのようにネームバリューがある会場は、アーティストにとって“目標”となりやすい。ライブハウスの規模から、アリーナ規模へと人気が拡大する中での、重要なステップアップの会場でしたし、そういった場所がなくなることを懸念する声は多い。
また“2000人規模”というのが、絶妙な大きさなんです。いちばん後ろの列の客席でもステージがちゃんと見える規模ですし、座席がある会場であれば、観客同士の距離感を適度に保てるので、余裕を持ってコンサートを楽しめる。そういった会場が減っていくことは、音楽ファンにとってあまり好ましくない状況だと言えます」