「自分も頑張らなきゃ」と思わせてくれる存在
ぼくは昔から兄の背中を追っていて、同じ高校に進学し、部活動の弓道も、ギターも、全部兄の影響でした。それでも、自分は地元で公務員になって実家の神社を継ぐというのが既定路線でした。
ところが、大学を卒業していざ就職しようとしたとき、「ぼくだって兄のように好きなことをやっていいはず」と思い直し、東京に出てきたんです。
最初は俳優を目指しましたが人前で演技をするのがつらくなり、養成所で勉強をして放送作家になることにしました。
〈そしていまや放送作家歴15年。『マツコの知らない世界』(TBS系)、『新しいカギ』(フジテレビ系)、『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK)など、数多くのテレビやラジオの番組を担当している。〉
弟として兄を見たとき、「自分も頑張らなきゃ」と思わせてくれる存在ですね。台本に行き詰まると、兄のYouTubeとか、出演番組を見るんです。するとカンフル剤のように力が湧いてきて、仕事がはかどる。
おそらくぼくは、放送作家の中でいちばん狩野英孝の出演作を見ていると思うんです。
同じ宮城県出身の芸人としてはサンドウィッチマンという怪物がいますが、一放送作家として見ても、狩野英孝は負けてない。福山雅治にはならなかったけど、いまの兄ちゃんが好きですね。
ほめてばかりいますけど、2016~2017年に女性関係のトラブルが相次いだときは、兄の信奉者であるぼくもさすがに参りました。スキャンダルだけはもう勘弁してほしいです。怒って「いいかげんにしてくれ」と言うと、「すみません」と殊勝な返事が返ってきました。そんなことも言ってほしくなかったので、泣いちゃいましたよ。
2012年に父が急死し、神社は兄弟2人で守ると決めました。
神職が嫌で飛び出しましたけど、跡を継ぐのは宿命と思い、神職の資格も取得しました。芸能界でも、神職としても、兄と一緒によい道を歩いていけたらと思っています。
取材・文/山下和恵 写真提供/狩野孝彦さん
※女性セブン2023年7月6日号