長期で成長する商品なら買い直したほうがお得
新NISAでの投資では、従来のNISA口座や課税口座から、そのまま移管することができないので、売却してから買い直す必要があります。ただ、課税口座で含み益が出ている場合は、売却益に対して約20%課税されますので、いったん資産が減ることになります。
たとえば現時点で投資元本100万円に対して含み益40万円になっていたとします。課税口座での保有を継続して、その後2倍になれば140万円は280万円となります。そこで売却すると税金は36万円(=含み益180万円×20%。復興特別所得税は割愛)となり、手元に残るお金は244万円です。
一方、売却して新NISAで買い直した場合を考えます。いったん売却しますので、40万円の含み益に対して8万円課税されます。その結果、新NISAで購入する資金は132万円です。その後、2倍になれば264万円になり、そこで売却したとしても非課税ですので、手元に残るお金は264万円です。
このように長期投資を前提とするなら、売却して新NISAで買い直したほうがよいことになります。
成長投資枠で購入できる投資信託
6月21日、新NISAの「成長投資枠」で購入できる投資信託の発表がありました。NISA成長投資枠の対象商品は、投資信託協会のホームページで公表されています。
(https://www.toushin.or.jp/static/NISA_growth_productsList/)
新NISAでは、現行の一般NISAで購入できるレバレッジ型のETF(上場投資信託)や、毎月分配型投信、設定時に決められた信託期間が20年未満の投信などは対象外となります。現在、保有している投資信託が対象外なら、同じものを新NISAでは購入できません。
その場合は、このタイミングで投資商品を再考するのも一案です。保有している投資信託を売却して、長期投資にふさわしいとされる商品を新NISAで買い替えてみる手もあるでしょう。ちなみにこの連載でもたびたび紹介している「eMAXIS Slim」シリーズは、対象商品に選ばれています。
売却&購入のタイミング
成長投資枠は、年間の限度額以内であれば、まとめて投資もできますので、2024年に相場が荒れて大きく下落するタイミングがあれば、課税口座の投資信託を売却して、そのお金ですぐ新NISA口座で買い直すのが理想です。
ただ、そんな神業的なことができるかというと、なかなかむずかしいでしょう。何回かに時間分散して、売却&購入を行うことをおすすめします。