株で儲ける鉄則は「上がる前に買う」ことだが、お金のプロは日経平均株価がバブル後最高値を更新した後も“自腹”で株を買い増していた。彼らは今後の日本経済をどう読み、どの銘柄を買ったのか。
「20年後の姿」を読む
6月13日、日経平均株価は3万3000円台に突入し、バブル崩壊後の最高値を更新した。3万3000円台に回復するのは、約33年ぶりのことだった。経済評論家の鈴木貴博氏が語る。
「今が上昇のピークだと考えている人もいるかもしれませんが、私は今年の年末までに史上最高値の3万8915円(1989年12月)を更新すると見ています。
理由は2つあり、ひとつは日銀の大規模緩和で円安が続き、外国人投資家にとっては日本株がまだ割安に見えていること。もうひとつは、地政学的リスクの高まりで中国を中心としてきた半導体などのサプライチェーンが日本にシフトしつつあることです。6月10日時点で日経平均は9週続伸となっていますし、まだまだ上がり続けるでしょう」
では、この上昇局面で、「お金のプロたち」はいったいどんな銘柄を購入したのだろうか。
青山学院大学元教授で会計学博士の榊原正幸氏は、日経平均がすでに3万1000円台に突入していた6月初旬に、大手化学メーカーの旭化成とインテリアの製造・販売などを手がけるサンゲツを購入したという。
「自己資本比率が高く、財務内容が健全であることと過去10年間の配当利回りが安定しているという基準でこの2社を選びました。たとえばサンゲツは配当利回りが5%を超えていて、こうした『安定配当企業群』は、今から購入しても十分に投資妙味がある。また、PBR(1株当たりの純資産から見た株価の割合)が0.5倍以下である『低PBR企業群』も財務状況が健全であるなら、今後はさらなる株価上昇が見込めると考えています」