デベロッパーの株価は軒並み下落
日経新聞の報道によれば、〈新たなルールは(1)築年数や階数などに基づいて評価額と実勢価格の乖離の割合(乖離率)を計算(2)約1.67倍以上の場合、従来の評価額に乖離率と0.6を掛ける〉というかたちになるとみられると説明されている。前述の有識者会議の資料にある例で言えば、実勢価格(1億1900万円)と評価額(3720万円)の乖離率は約3.19倍で、約1.67倍を上回るため、「評価額(3720万円)×乖離率(約3.19倍)×0.6=7140万円」が新たな評価額となるわけだ。
相続税額がどう変化するかは、法定相続人の数やマンション以外の資産がどれだけあるかなどに左右されるが、仮に子供2人が相続人でマンション以外に現預金1000万円の遺産があった場合で試算すると、マンション評価額が3720万円だと相続税額が52万円のところ、評価額が7140万円に上がると相続税額491万円まで負担が増す。
もちろん、マンションの高層階を購入する人は相続税対策ばかりを考えているわけではなく、自らの居住用などとして購入する人も多いとはいえ、「このルール見直しが、好調な不動産市況に水を差すのではないか」(不動産業界関係者)という声も聞こえてくる。
「日経の一面報道が出た日の株価の値動きを見ると、住友不動産が83円安の3535円、野村不動産ホールディングスが62円安の3457円といった具合に、タワマンを多く手掛ける大手不動産企業が軒並み、値を下げている。従来の節税手法が使えなくなることを見越して、マンションの買い控えを考える消費者もいるのではないかと、市場の先行きも懸念されています」(同前)
国税庁は来年1月1日からの新ルール適用を目指しているとされるが、今後、マンション市況にどのような影響が出るか、注視していく必要がありそうだ。(了)