1番上の子供と3番目の子供の年齢差が大きいほど、『月額3万円』を受け取れる期間が短くなる(パターンC)。それが18歳差になると3番目の子が月額3万円を受け取れる期間はゼロになり、総額は702万円(パターンD)にとどまることになります。岸田首相の言う『約400万円増』の恩恵を一切受けられないわけです」
こうした“制度の罠”は至るところに仕掛けられているという。
「児童手当で注意したいのは、子供が生まれれば自動的に支給されるものではないという点です。決められた手続きを決められた期日までに行ない、自分で請求をしないと支給されません。支給を受けられるのは請求の翌月からで、5年までは遡って請求できる年金と違って、児童手当は遡っての請求ができません。国はマイナンバーも導入して子供の年齢などの情報を把握できているのに、遡っての請求すらできないというのもおかしな話です。少子化対策にどこまで本気なのか、甚だ疑問です」(北村氏)
控除をどんどん廃止してきた歴史
まだまだある。岸田政権は、児童手当の支給対象を高校生まで広げることと引き換えに、16~18歳の「扶養控除」の廃止を検討していると報じられている。「それでは児童手当が新たに支給されても、実質負担増になる家庭も出てくる」と北村氏は言う。
「扶養控除が廃止されれば課税所得が増え、所得税と住民税の負担が増えます。高校生の子供がいることで月額1万円(年額12万円)の児童手当が受け取れるようになっても、年収がある程度以上の水準になると、税金の負担増のほうが大きくなってしまう。年収と課税所得の関係は各家庭の状況で変わるので大まかなシミュレーションになりますが、年収800万円の人でほとんどプラスマイナスゼロ、年収1000万円になると完全なマイナスといったイメージです」(北村氏)