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【どうなる令和の株バブル】庶民が実感を得られないまま弾け、株価10分の1まで急落する “令和恐慌”の最悪シナリオも

「その時、何が起こったか」1998~2023年の日経平均株価の推移

「その時、何が起こったか」1998~2023年の日経平均株価の推移

どうすれば給料は上がるか

 近い将来の日経平均の史上最高値更新、そして「4万円突破」を確実視する声もあるなかで、その恩恵が広く行き渡ることはないのだろうか。今後、令和バブルはどのような経過を辿るのか──。森永氏はこう見る。

「日銀は前回のバブル崩壊後、しばらく資金供給を絞り続け、不況を深刻化させました。今回もまた、金融引き締めを端緒にこの株バブルは崩壊するのではないか」

 森永氏は、庶民が実感を得られないまま令和の株バブルが弾けていく展開を懸念する。

「岸田政権は金融緩和継続を言いながら、日銀が供給する資金量を示す指標=マネタリーベースを絞り始めています。総選挙が遠のいて岸田政権が利上げを急ぐ可能性があり、そうなるとバブル崩壊はいよいよ近い。反動は極めて大きく、株価が一気に10分の1まで急落しても不思議はないと考えます。日本社会がまた長期に低迷する“令和恐慌”の可能性すらあるでしょう」(同前)

 そうした最悪のシナリオを回避する方策を探らなくてはならない。前出・岡山氏は、この令和の株バブルの恩恵が広く国民に行き渡るためのひとつのカギは「財政政策」にあると指摘する。

「日本政府が企業や国民に資金を出す『積極財政』を政策の中心に据え、成長分野に大胆に投資して国民を支援すること。そうすれば、日経平均4万円は単なる通過点となり、ハイテク株以外の幅広い業種が買われてさらに上を目指す動きになる。

 低迷を続けた日経平均と違って、米ダウ平均はこの30年間で約14倍に成長し、米国の労働者の給料は同期間に1.5倍以上に伸びました。その間、日本の給料の伸びはゼロでしたが、今後、幅広い業種の業績拡大、株価上昇となれば、会社員の給料・ボーナスアップも実現していくはずです」

 別掲の図に示した通り、この30数年で日本企業は世界の時価総額ランキング上位から姿を消した。そのままでは「失われた30年」は終わらない。令和の株バブルをごく一部の人の宴で終わらせず、日本経済全体が強く甦るための正念場は、これからやってくる。

※週刊ポスト2023年7月14日号

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