岩田:ただ、これほど高い支持を集めると、長く続けようと思いませんか。
橋下:そういう政治家が多いですが、僕も松井さんもヘトヘトでしたよ。吉村さんもそうだろうし、安倍(晋三)さんもそうだった。もうボロボロになるの。だから維新スピリッツの核心は、政治家としての期限を自ら決めて、スパッと辞めること。このスピリッツを持っている政治家が維新にどれくらいいるかな?(笑)
岩田:確かに全力で政治に携わると消耗が半端ないですよね。ところで今、安倍さんの名前が出ましたが、自民党が下野し、大阪維新が国政に出ようとしていた頃の2011年3月に、中之島(大阪府大阪市)のホテルで安倍さんを「いずれ総理に」と維新に誘いましたよね。
橋下:ええ。僕は政治絡みの交渉はまったく苦手なので、松井さんたちに任せていましたが。
岩田:その夜に安倍さんから電話があったことを思い出しました。世間から「二度と復権はない」と言われた自分に、人気上昇中の維新が価値を見出してくれたとは、と噛みしめていました。
橋下:あの頃の大阪維新には国会議員はまだ一人もいなくて、大阪都構想の実現には法律を変えなきゃいけないから、国政に出ようという段階でした。それで、厚かましくも、総理経験者の安倍さんをお誘いしたんです。
岩田:結局、安倍さんは、政権交代のきっかけを作ったのは自分なのだから、自分で落とし前をつけるまでは、自民党を出るわけにはいかないし、先人たちにも申し訳が立たない、と誘いを断わったわけですが、感謝の気持ちを口にしていました。
橋下:そうでしたか。海のものとも山のものともわからない僕らからの誘いをそのように受け止めていただいたなんて、本当に嬉しいし光栄ですね。